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ケーブルテレビ 岐路

2015年06月12日 19時33分20秒 | ICT

岐路に立つケーブルテレビ  ケーブルテレビ60年




 1955年、群馬県伊香保温泉に日本で初めてケーブルテレビ局が誕生して今年で60周年を迎えた。地上テレビ放送の難視聴対策で誕生したケーブルテレビは、その特性を活かし、多チャンネルサービスで豊富なコンテンツ提供して、契約者を獲得した。その後、IT社会の進展と共に、インターネットやIP電話サービスも開始して、単にテレビだけでなく情報通信サービス企業へ変身し始めた。テレビとインターネット、そして電話、“トリプルプレー”と呼ぶこの戦略で、1兆円産業に成長した。この10年で2.2倍に成長したという。
一方で、ケーブルテレビの強力な競争相手が登場してきた。
 その一つは、スマートフォンやタブレットなどの携帯移動端末への動画配信サービスである。とりわけスマートフォンの急激な普及は、映像マーケットの“市場革命”の様相を呈している。若者は、映画やドラマ、エンターテインメントでさえ、“スマホ”で見るのが主流になっている。テレビは主役の座から降りてしまっている。移動体端末への動画配信サービスはこれからもますます増えていくだろう。
さらに、今年の秋には、米国で圧倒的なシェアを獲得したNetflixが日本に“上陸”する。インターネットで配信し、廉価な“見放題”の定額サービスで、インターネットで配信する。まさに、“黒船”来襲だ。ケーブルテレビにとっては、まさに“黒船”の襲来、競争激化は避けられない。Netflixは、端末はテレビなので、もろにケーブルテレビと競合する。NTTグループのFTTHの光ファイバー網を使用して、“ひかりTV”サービスの普及に力を入れている。
 ひかりTVは、次世代高精細放送の4Kサービスをすでに開始しており、Netflixも4Kサービスを日本でも開始するとしている。
これまでの発想で、多チャンネル”と“トリプルプレー”戦略だけでは通用しなくなるかもしれない。
時計の針を戻して、単なる“再送信”メディアに戻ったら、インターネットTVや光TVと競争できないだろう。
さらにNHKでは、2020年までに次世代高精細放送8Kの本格放送を開始するとしている。こうした4K/8Kに加えて、IP放送、移動体通信サービスなどケーブルテレビの対応が遅れをとっては競争にならない。
 日本は今、2020年は東京オリンピック・パラリンピックを目標に、“世界で最高水準のICT社会”を実現しようと疾走し始めている。ケーブルテレビも情報通信メディアとしてその一翼を担う必要があると思える。
ケーブルテレビの加入世帯は、全国で2900万世帯、50%を超える普及率である。新たな超高精細の臨場感あふれる映像が、“テレビ”で見られるICT社会の実現には、ケーブルテレビの果たす役割は大きいだろう。
もうひとつ“生き残り”の重要なキーワードは、“地域コミュニティ”である。
 ケーブルテレビの特性は、“地域”と密接につながっているメディアであるということである。この特性をフルに生かして、“地域メディア”の“核”としての存在感を構築することである。地域情報番組の自主制作は勿論、テレビ番組だけににとどまらず、双方向機能を活かしたサービス、健康・福祉サービス、買い物・配送サービス、高齢者支援サービスなど地域社会と連動したさまざまサービスをケーブルテレビ局がどう担えるか、また地域社会からの期待にどう応えるのか、“生き残り”の課題だと思う。
60周年を迎えた「ケーブルコンベンション2015」のスローガンは、“Innovation & Challenge ~挑戦と連携~”だ。

▼ 60年の歩み

1953年  地上テレビ放送開始
1955年  ケーブルテレビ放送開始 群馬県伊香保
1963年  郡上八幡ケーブルテレビ局で初の自主放送開始
1986年  電気通信事業者との兼業許可
1987年  初の都市型ケーブルテレビ局開局 多摩ケーブルネットワーク
1989年  NHKBS24時間放送開始
      CSによる番組配信サービス開始
1996年  ケーブル・インターネット開始 武蔵野市三鷹ケーブルテレビ
1977年  CATV電話サービス開始
2000年  BSデジタル放送開始
2001年  自主放送を行うケーブルテレビ局加入者1000万人突破
2006年  自主放送を行うケーブルテレビ局加入者1000万人突破
2012年  ケーブルテレビ事業者の売上高1兆円突破
2013年  ケーブルテレビ局の電力サービス開始
2014年  Ch4K試験放送 全国のケーブルテレビ46か所で実施
2015年  衛星放送のデジアナ変換終了
     主放送を行うケーブルテレビ局加入者2900万人突破


多チャンネルサービスの現状
 「ケーブルコンベンション2015」で、多チャンネル研究所では、「多チャンネルサービスの現状と課題」という調査報告を行った。
 調査対象は、衛星放送協会の加盟各社(スカパー!、ケーブルテレビ、IPTV)が運営する有料チャンネルで、2014年6月で、回収率は98.9%と極めて高い回収率だった。
 収支状況は、収入と費用ともに前年を上回ったが、収支は6割の事業者が悪化したとしている。費用の増加、特に番組制作費や購入費が増加したと回答する企業が多かった。
 加入者の予測は、ほぼ横ばいで、今後大きく伸びることはないという見方をしている。
 経営課題としては、加入獲得に向けた「認知度のアップ」を上げた企業が大幅に増えた。競争の激化で危機感が表れているようだ。「次世代サービス」については、業界としては対応が必要だという認識はあるが、加入獲得には当面つながらないとして消極的な意識も目立つ。端末の普及が進むのか、設備投資をしても収入につながるのかという懸念を示す企業の姿が浮かび上がってきている。


* 出典
多チャンネル放送市場の現状 『2014年多チャンネル放送実態調査報告書』より
2014年3月11日 多チャンネル放送研究所 「将来像予測」WG




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2015年5月4日
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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net  /  imssr@a09.itscom.net
URL http://blog.goo.ne.jp/imssr_media_2015
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